2017年8月6日日曜日

ペレットボイラーの冷房運転 と 明徳館の設計者


秋田市立図書館 明徳館の玄関付近から
ペレットボイラーを撮影しました
中央付近の丸い所が 冷却塔の排気口です

この向きで 冷房運転すると
音と熱排気が
玄関付近に真っ直ぐ向かいそうですね 

でも このボイラーは
冷房運転の実績がとても少ないので
そういった場面に遭遇した人は
ほとんどいないと思います

多くの人はご存知ないかもしれませんが
このボイラーの冷房運転の音と熱排気はものすごく
建屋にも入っていないむき出しなので
千秋公園の入り口で
毎日運転できるようなものではないのです

ほとんどの場合 従来からの館内の空調設備で
明徳館の冷房が行われているのが実情です

毎日観察しているわけではありませんので
正確な運転状況はわかりませんが
昨年の夏は1度だけ冷房運転を見ました
今年の夏は まだ1度も冷房運転を見ていません
ペレット燃料も 満杯のまま減りません

ペレットボイラーは 夏はハリボテ状態なのです
もしかすると 静かに運転中と
思っている人もいるかもしれませんが
このペレットボイラーの実情は違うのです



ここは 明徳館の玄関から見ると
建物の裏手側
左手奥の角の部分です

館内に設置されている空調設備の
機械室があると思われるところです
排気筒が高所に設けられています

この日の気温は32.4度でしたが
館内の古い空調設備で冷房が行われており
館内は問題ない室温になっていました

運転音は静かで 遠くから聞こえる
なかいちの広場の昼竿燈のお囃子の音のほうが
大きいと感じるほどでした
これなら 運転に問題ありません
明徳館に合わせて設計されたものですから
当然ですね

近くの県民会館の空調設備は
冷却塔が屋外に設置されており
大きめの運転音が発生していますが
それと比べても 本当に静かです

ペレットボイラーは造らずに
もとからの施設の設計通りに 館内の空調設備を
性能が向上している最新のものに更新していれば
はるかに安い費用で済んだでしょうし
おそらく省エネ効果も高かったことでしょう

館内の設備を更新していれば 音や熱気の問題で
運転できないなどということもなかったでしょうし
明徳館の設計や 千秋公園入り口の景観を
損なう事なども起こらなかったと思われます

造らずに 繕っておけば
何の問題もなかったはずなのです

このままいけば
 いずれ 館内の空調設備も更新が必要になりますから
明徳館のペレットボイラーは
本当に謎の存在だと 私には思えるわけです

ちなみにですが この排気筒からは
冬季も排気が行われていましたので 
暖房も館内設備を併用しているのかもしれません

ペレットボイラーは
可能ならば建屋に入れて設置するべきだと思いますし
最低でも実際の運転状態に合わせた
音や煙や熱気や景観デザインに対しての
こまやかな配慮や有効な対策が必要です

新しい施設を建設する時に
設計段階から導入を考えないと
機能的な設備にはならないのだと思います

例えば 市役所を建てるときや
新屋のガラス工房を建てるときに
導入を考えれば良かったような設備なのだと思います

でも どちらの施設にも採用されていませんので
もともとペレットボイラーは
それほど機能的な設備ではないのかもしれません

造れる所を他に思いつかなかったから
ゴリ押しで明徳館に造っただけというのが
実情だったのだろうと考えてしまいます



私が「ひであき」と勝手に呼んでいる
明徳館前の銅像です
(個人的に付けた愛称ですのでお許しを )
2017年現在 ペレットボイラーを背景に直立ポーズ



こちらは 12年前 2005年の「ひであき」です
季節も違いますが 背景がすっきりしていますね
千秋公園と一体化する緑地でした

明徳館を設計した 谷口吉生氏は
日本を代表する著名な建築家ですが
建物そのものだけでなく 建物内外の人の動線も考え
環境や敷地との関係性を重視して
設計を行われるそうです

明徳館も 千秋公園と接するという環境を考慮して
設計されたのではないかと思います
公園と接する側は 駐車場などにはせず
風致地区としてもふさわしい
公園と一つながりの緑地とされたのです

谷口氏の建築の一例として
明徳館が紹介されているのを見ると
うれしく思ったりしていたのですが
ペレットボイラー設置以降は
複雑な気持ちです

モダニズム建築の巨匠の建築作品に
なぜ あのボイラーと配管?

動線を考えて設計された空間だったと思われる
公園と明徳館の間の緑地の通路も
ボイラーの配管で寸断されてしまいました
とても残念です

谷口氏は 美術館・博物館などにも作品が多く
建築そのものが芸術とも評されていますから
「芸術文化ゾーン」「芸術文化の香り高い地域」
とされるこの地区にある明徳館は
もっと大切にされて然るべきものでした

土門拳記念館など ご自分の設計した建物には
相談があれば 補修の工事でも関わると
私の見たインタビュー記事にはありましたが
明徳館もかなり傷みが目立ってきましたので
補修を考える必要があると思います

十分には稼働せず 性能も高くないのに
値段は高いペレットボイラーを造るくらいですから
明徳館を繕う費用は 秋田市が持っていることを
期待したいですが・・・

それから 命名権ビジネス 建物で宣伝という事業を
明徳館でも行っていますが
明徳館そのものが価値のある建築作品ですから
なにかもっと違った活かし方も
ありそうが気がします

谷口吉生氏の作品であることが
わかりやすく紹介されていて
秋田市の「いいもの」の一つとして
多くの人に認識されていれば良かったのですが
あのボイラーができた後では
どうすればいいのか
・・・


ペレットボイラーでは冷房運転がほとんど行われず
旧来の館内空調設備が主に稼働していることや
明徳館が日本を代表する建築家の作品であることは
知らずにいる人が多いと思います

先月の地元紙の記事で
明徳館のペレットボイラーが取り上げられ
その中で私のコメントも紹介されていたのですが
ペレットボイラーの稼働状況や
明徳館の設計者のことなども知ってほしいと思い
あらためてこの記事を書きました

過去の記事と重複することが多いのですが
まとめて明確に書いておくことにしたものです

私が思うには
明徳館は 市民の身近にある
秋田市の「いいもの」の一つです
千秋公園もそうです

千秋公園と明徳館は 別々のものではなくて
一体となった「いいもの」として
大事にされると良いなと思っています


*明徳館のボイラーについての全記事は
「80明徳館 」のラベルでまとめました