2018年6月24日日曜日

新文化施設建設工事:へし折られる木


 店のすぐ前で行われている工事現場で、重機の動く音と振動がありました。事前の説明ではまだ重機は入らないはずでしたが、何かと思い外に出てみると、重機で木をへし折る作業が行われていました。この写真を撮影した前日から始まり、最初は松の木がへし折られていましたが、2日目は欅でした。これからまだ続きそうです。

 この作業は、県民会館を壊して、新たに秋田市と秋田県が共同で建築する新文化施設なるものの工事の一部です。



 ちょうど私の店の向かいの女子校と県民会館の接するあたりです。欅をへし折る作業が行われたのは、この女子校の文化祭の日だったので、何もそんな日にやらなくても良いのにと思いましたし、長い年月をかけて育ってきた木を重機でへし折る作業はなんとも雑な感じがしました。

 現在の工事は解体作業なので、木の伐採も解体作業の一環で予算をかけずにということなのだと思いますが、もう少し丁寧に木材として活かすことのできる方法が取れないものなのでしょうか。

 新たな施設ができるまで4年ありますから、木材として乾燥させておき、新文化施設で使うベンチでもパネルでも、何かに使って再生させるという考えは無いのでしょうかね。

 芸術と文化でにぎわいを作り人を呼ぶということが繰り返し訴えられているこの地域ですが、本当にそれらしく細やかな配慮を積み重ねて文化の醸成に努めていただきたいのですが、こういう木を一本切るときにも、そういう文化的な配慮の程度というのは現れますね。

 私自身は、今年は妻の実家の梨の木を250本も切りまして、その中では雑な作業も行いました。でも、良質な部分は後に道具を作るために木材として乾燥させておりますし、それ以外の部分も焼き物の窯元さんで釉薬となる灰になる予定です。県民会館の解体工事では、他にも木が撤去されると思いますが、形を変えて何かになるという事を考えても良いのにと思います。



 上のほうがへし折られてこのようになりました。気持が少しざわざわしますね。木材にして再生させられることもなく、処分されてしまうのでしょうか。

 ここまでの作業を、通りがかった小学生も一緒に見ていましたが、これが良い作業だと子供に思って欲しくはないなと思いました。

 先日は、県民会館お別れイベントなどが行われ、ありがとう県民会館などという言葉もありました。無機的な建物にありがとうという位なら、我々よりも長生きしている樹木に対しても、もう少しやりようがないものかと思います。

 近くに栃の大木もありますが、設計図面を見ると残されそうな感じにも見えます。あの大木が同じようにへし折られるとショックですので、残して欲しいと思います。他には中土橋側の街路樹の欅なども撤去されるのか残されるのか・・・。

 わずか200台の駐車場に25億円も掛ける予定もある工事です。今回の木はそのためにへし折られたと言っても良いと思うのですが、 木の伐採工事くらいもう少し丁寧にやることも十分に可能でしょうにと思うわけです。



 これから4年間この場所で工事が続く予定です。毎日目の前で行われることなので何かと心配ですが、県と市の担当者と工事の担当者にしっかりとやっていただくことを願うしかありません。

 完成すると、巨大施設となり秋田の文化の拠点の一つとなるようなので楽しみではあります。 でも、木をへし折る作業を見て、なんとなく心配な気持にもなりました。


2018年5月7日月曜日

「銀線小町」デビュー:漆人五人展 ✕ 銀線細工


 昨年から、秋田市伝統の銀線細工の表現の可能性も広げたいと思い、「矢留フィリグリー」という制作チームに、様々な素材の作り手にボランティアで参加していただいて活動してまいりました。その活動は2月の銀線細工の企画展でひとまず終了したのですが、展示会後に銀線細工の作り手の女性3人と「銀線小町」という新たな銀線細工の制作チームを立ち上げました。その「銀線小町」が、川連塗りの職人の方たちの展示会にご一緒させていただくという形でデビューします。

 5月11日から15日まで、秋田市アトリオンの3階展示室で、川連塗りの作り手のグループによる「漆人五人展」が行われます。そこに銀線細工の「銀線小町」と「房工房」さんが加わり、漆と銀線の展示会になります。銀線細工と漆の組み合わせにより制作される作品は、まだ試作的な側面を持ったものですが、今までにない新しい表現になるものです。作り手それぞれが工夫しながら制作しているので、当日にならないと、私もどのような物に仕上がるのかわかりません。早く作品を見たくてわくわくします。

 漆と銀線の組み合わせによる作品の他に、漆の作品と銀線の作品それぞれの展示販売も行います。この日のために制作された新作・一点物も展示販売されますので、ぜひご来場ください。


2018年4月23日月曜日

梨の木をたくさん切った4月


 妻の実家の梨畑を閉鎖することになり、葉が出る前に梨の木を急いで切ることになりました。病害虫対策の関係で、葉が出る前に切らなくてはならないのです。

 梨畑には縦横に番線で棚が作られているので、まずは番線を外すところからですが、これがなかなか進まない厄介な作業でした。



 番線を外し終わり、これから木を切っていきます。ほとんどの木は幹が3つに分かれていて、その分かれている部分で切ります。1本につき3箇所で切るということになります。

 チェーンソーを買おうかとも思ったのですが、使い慣れていない機械でのケガの可能性も考えられたので、すべて手鋸で作業しました。太いものもあり、なかなかたいへんでした。最初は梨の味を思い出しながら切っていましたが、すぐにその余裕は無くなり、ただひたすら切りました。



 250本ほどの梨の木がありましたが、このように幹の途中で全て切りました。枝がついたままなので、このあとは枝を切る作業です。これもまたなかなか時間のかかる作業で、とにかくひたすらハサミで切りました。太さ35ミリの生木の枝を切ることができる強力なハサミを使いました。



 枝を切り落とした後は、薪として使ってくださる知人に引き取っていただきます。チェーンソー持参で来ていただいて、幹を適当な長さに切断して少しずつ運び出し、枝をまとめて山にして少しずつ片付けていきます。だいぶすっきりしてきましたが、これで1/4くらい薪の運び出しが終わったところです。まだ3/4残っています。

 作業はまだまだ続きますが、風景が変わってきてだいぶ先が見えてきた感じです。この梨畑の伐採作業のために、店を臨時休業したり変則的な営業時間にしてしまいましたが、作業の続きは連休明けになる予定です。あと数日の作業で片付け終わると思うのですが、作業が終わるまでに何回か再び営業時間の変更などがあるかもしれません。ご迷惑をかけてしまいますが、どうかお許しください。よろしくお願いいたします。


2018年4月22日日曜日

手描き友禅の展示会


 友禅工房 風 の展示会に行ってきました。小林さんご夫妻の手描き友禅の作品を堪能してきました。

 繊細な図案、写実的な絵柄、遊び心のある作品など、多彩な展示会です。中には型を使ったかのような幾何学的な繰り返しパターンの紋様もありますが、全て手描きによる表現です。

 自由で幅の広い手描き友禅の作品を拝見して、私ももっと自由に描けるようになれたら良いなと思いました。自分のレザーカービングのパターンには、定型的ないつもの形みたいな物があって、変化に乏しいと思うところがあるのです。



 最初の写真にも写っている作品を、反対側から撮影しました。墨を使って染めた昨品で、その微妙な色の味わいを写真では写し取ることができませんでしたが、ハスのモチーフのなんとも言えぬ素敵な作品です。表と裏の表情の違いがまた良いのですが、ぜひ展示会場で実物をご覧ください。

 秋田市のアトリオン3階の展示室で、4月22日(火)まで行われています。

2018年4月12日木曜日

矢留フィリグリー(矢留銀線):7


 漆と銀線細工の組合せの銘々皿です。漆器に本格的な銀線細工を組合せた作例はほとんど無く、手探りで制作を進めました。

 漆の技法には、平脱あるいは平文と言われる技法があり、大雑把に言うと薄い金属板を切り抜いて模様を構成して、漆を塗り平らに研ぎだすという技法です。銀線細工と漆の組合せは、こういった技法の一種と捉えることもできますが、銀線細工の良さを活かすためにはどういう方向で仕上げるのがいいのか、なかなか難しいものがあります。



 この銘々皿は、重ねた時に銀線の高さが影響しないように、裏に段を付けて重ねても傾かずに平らに重ねられるようにしてあります。

 銀線細工と漆の組合せには様々な可能性を感じることができたので、今後も銀線と漆の双方の良さが活かせるような作品作りを試みていきたいと考えています。

 5月には漆と銀線の展示会も予定されておりますので、会期が近づいてから詳細を案内させていただく予定です。
 

2018年3月24日土曜日

矢留フィリグリー(矢留銀線):6


 銀線細工と革の組合せもいくつか試してみました。これは革を組合せたペンダントですが、銀線細工の透かしの特性を活かしてきせかえ式で色を変えられるようにしました。



 銀線細工の後ろに合わせる革を変えると、ずいぶん印象の異なる作品になります。革紐の色も変えることができますので、かなりの種類の組合せが可能になりますね。



 シンプルに革と銀線細工のパーツを組み合わせたアクセサリーです。ざっくりと簡単に作ったものですが、なかなか好評でした。



 こちらは銀線細工らしくない銀線細工ということで、太い銀線を使った作品です。銀の地金に銀線パーツをロー付けしていますが、銀線の背景が銀地金ではなくて革だと思った人が多くて、どうやって革に銀線をくっつけているのか質問を何度か受けました。

 製作時間が極端に少ない中で作ったので、不本意な所もありまして、左から2点目は一度バラして作りなおすことにしています。


2018年3月16日金曜日

矢留フィリグリー(矢留銀線):5


 秋田には秋田杢目銅(もくめがね)という金工の伝統技法がありますが、杢目銅と銀線細工では盛んに行われた時代が異なっていたということもあって、二つの技法を組合せた作品がほぼありませんでした。

 その双方の技術を一人でできる作り手である内藤春海さんが制作した 銀線蓋付杢目銅筥 です。幾重にも巻かれた銀線細工の装飾のある蓋に、何十層にも金属を重ねた塊から叩き出し形作られた杢目銅の筥(箱)部分。加工技術も、色の仕上げ法も全く異なるものが要求される二つの技法で、一つの作品としてまとめ上げられています。



 こちらは帯留めとかんざし。銀線細工ならではの繊細で華やかな雰囲気は、こういった和の金具にも相性が良いものです。



 帯留めは和の金具ですが、いろいろな用途に使いやすい構造を持っています。革との組合せも容易で、帯留めをチョーカーのように使うこともできます。



 ブレスレットにも使いやすいですね。帯留めは、デザインやサイズを変えていくと、使い途がもっと広がっていく汎用性のある金具です。

 銀線細工の帯留めに触れてみて、とても面白かったので、さらにデザインを広げた展開を考えているところです。


2018年3月5日月曜日

矢留フィリグリー(矢留銀線):4


 銀線と陶器も組合せの難しいものですが、これは陶器の作者が香炉の蓋の銀線部分も自ら制作したものです。五城目の三温窯の佐藤幸穂さんの作品です。三温窯さんのブログで製作工程なども紹介されています。



 こちらの香炉は、白い銀線を入れるつもりで制作されたものですが、私が銀線の作者にそのことを伝えるのを忘れてしまい、燻した銀線との組合せになりました。陶器の作者の意図とは違ったものになってしまいましたが、個人的にはこの色合いの組合せは好みです。



 明かりの窓にも銀線をはめ込んでみました。ロウソクの明かりは暖かみがあって、銀線部分も何か他の素材のように感じられます。明かりの色の効果なのか、陶器という素材との相性がそう見せるのか、ちょっと不思議です。人の感覚もロウソクの明かりと同じように揺れ動くものなのでしょうね。

 写真が少し傾いていますが、撮影した時には水平のつもりでした。これも感覚の揺れ動きと言いたいところですが、単純に私の水平感覚の鈍さです。


2018年2月26日月曜日

矢留フィリグリー(矢留銀線):3


 家具と銀線細工という試みも行いました。家具工房 杢 の杉山さんに、銀線細工と組合せの可能な家具をお願いして作っていただいたのが、照明付き飾り棚です。その照明部分に銀線を配しました。

 拭き漆仕上げの和の雰囲気は、海外の各種の銀線細工関連の製品と比べても特徴のあるものになったと思います。国内向けには、逆に洋の雰囲気を取り込むなどの展開も可能です。



 会場で撮影した1枚です。私の写真の腕が悪くて良い写真ではありませんが、飾り棚の全体像がこれでわかります。左側に時計が写っていますが、これは革と銀線の組み合わせで作ったものです。



 同じ作者によるブラックウォルナットをオイルフィニッシュで仕上げが手箱です。蓋に銀線を施しました。



 木のやや硬質な質感と、銀線の柔らかな曲線の組合せが絶妙です。銀線の背景には革も使っています。



 こちらは、KEN弦楽器工房の斉藤さんの小箱と銀線の組合せです。鳥のモチーフは銀線細工では比較的目にすることの多い生物モチーフの一つですが、この鳥の構成はユニークで独創的なものです。

 鳥のモチーフの背景の真っ黒な木は、インド黒檀です。今はもう産出されず手に入れることの難しい素材です。私も、黒檀の本来の色を今回初めて知りました。本当に希少な材料なのです。
 


 同じく、楽器制作用の希少な材を使った寄せ木作りの雛人形です。ワンポイントの銀線モチーフが、やはり作品のアクセントとして効いています。



 引き出しにコンパクトに収納できるようなデザインで作ってくださいとお願いした作品です。ご覧のように、全てが土台の小箱に収まるようになっています。飾って良し、収納して良し、そんな一品です。

2018年2月22日木曜日

矢留フィリグリー(矢留銀線):2


 ハンギンググリーングラス(銀線:Kiyo・香澄  ガラス:グラススタジオ ヴェトロ)。ガラスと銀線細工の組合せは、膨張率の違いから溶着では実現困難なので、革を利用して熱を加えない組合せで考えました。

 構想が決まるのが遅かったために、展示会の1ヶ月前に初めての打ち合わせをしました。ヴェトロの小松さんには、ご自身の展示会もあり制作時間の厳しい中で制作していただきました。

 銀線担当のお二人にも時間の無いところギリギリで作っていただきましたし、スタンド担当の私もできたのは展示会の始まる前々日くらいでした。ほとんど打ち合わせ無しで、いきなり本番を作ったのは他の作品と同様でしたが、展示会ではたいへん好評でした。

 以下、銀線とガラスと革の組合せ三様です。





 今回は、銀線細工とガラスという組合せの難しい二つを革が繋いで一つの作品になりましたが、やはり銀とガラス合いますね。もっといろいろな可能性がありそうです。工法やデザインをじっくりと検討したり、作り手同士が打ち合わせをする時間が今回はほとんど無かったので、また機会があればその時は、より良い物が生まれるのではないかと思います。

 それから、主役じゃなくても生きる革の脇役力を再認識しました。革の使い途もまだまだ広げて行くことができそうです。